2012年12月2日日曜日

素晴らしきバカ色ダンス



もう随分と前のことになるが、舞踏にハマっていた。
大学そっちのけで大野一雄舞踏研究所に通い、
大駱駝艦の合宿に行ったり、
笠井叡のワークショップに参加したりしていた。
 
だから、世田谷パブリックシアターの『ハヤサスラヒメ』は
かなり気にはなっていた。
しかし、なぜか見ることを躊躇いチケットは買わなかった。
だが、今日が楽日だというのをTwitterで知って
発作的に行ってしまった。
 
公演を見て、まず感じたことは
土方巽という同じ原点をもった麿赤兒と笠井叡が
半世紀をへて、このようにシンカ発展したのかと
いうことだった。
しかし、結局はまた同じカラダというカラに戻っていく。
そんなことを考えながら見ていた。
 
舞台は、ミルククラウンのような白い踊り手の残像からはじまる。
やがてセンターの光の道にふたりの主役が対峙する。
狂ったように踊りまくる笠井叡に対して
ほとんど動かない麿赤兒
動と静。異種格闘技戦。
それぞれの式神たちの対決。
オイリュトミーの女官たちの前で、踊る麿赤兒に軽い眩暈を感じる。
 
第九の合唱の中で、異なるカラダはいつしか同一の動きを生み出す。
 
なかでも秀逸だったのは
チュチュをはいた笠井と、スカート姿の麿が見せる暗黒バレエ。
なんでこんなにバカらしく、なんでこんなに素敵なんだ。
これは、かつての土方巽と大野一雄の「バラ色ダンス」ならぬ
「バカ色ダンス」だ。
ともに69歳。
自分もまだまだ頑張らねばと思った。