2012年4月19日木曜日

「ピナ・バウシュ 夢の教室」を見て

ダンス経験のない10代の若者たちが
ピナ・バウシュの「コンタクトホーフ」を踊るまでの
ドキュメンタリー映画を見た。

ピナ・バウシュのダンスは
あくまでヴッパタール舞踊団のダンサーの身体から
作られたもので、その動きを10代の若者たちが再現する
意味が果たしてあるのかとはじめは思っていた。

だが、意味は充分にあった。
ピナのダンスは、自分の舞踊団のダンサーたちへの
果てしない質問と答えの結果、立ち現れた動きだ。
それは、ダンサーの内面から抽出されたものだが
最終的には人間の本質的なところに分け入っていく。
そして、その動きは人間の普遍性に繋がっていく。

はじめは意味も分からず
与えられた動きをただそのままにやっていた若者たちが
次第に、そこに何かを感じて、自分のなかにあるものを発見する。
これは彼らだから見つけられたものであり
その時点でこれはすでに彼らの表現なのだ。

若いときにだけ見えるものもある。
そして、年老いてからはじめて見えるものもある。
この「コンタクトホーフ」は65歳以上の演者で
上演されたこともあった。

真の動きはやはり
時分の花を開かせるのだろう。