もう随分と前のことになるが、舞踏にハマっていた。
大学そっちのけで大野一雄舞踏研究所に通い、
大駱駝艦の合宿に行ったり、
笠井叡のワークショップに参加したりしていた。
だから、世田谷パブリックシアターの『ハヤサスラヒメ』は
かなり気にはなっていた。
しかし、なぜか見ることを躊躇いチケットは買わなかった。
だが、今日が楽日だというのをTwitterで知って
発作的に行ってしまった。
公演を見て、まず感じたことは
土方巽という同じ原点をもった麿赤兒と笠井叡が
半世紀をへて、このようにシンカ発展したのかと
いうことだった。
しかし、結局はまた同じカラダというカラに戻っていく。
そんなことを考えながら見ていた。
舞台は、ミルククラウンのような白い踊り手の残像からはじまる。
やがてセンターの光の道にふたりの主役が対峙する。
狂ったように踊りまくる笠井叡に対して
ほとんど動かない麿赤兒。
動と静。異種格闘技戦。
それぞれの式神たちの対決。
オイリュトミーの女官たちの前で、踊る麿赤兒に軽い眩暈を感じる。
第九の合唱の中で、異なるカラダはいつしか同一の動きを生み出す。
なかでも秀逸だったのは
チュチュをはいた笠井と、スカート姿の麿が見せる暗黒バレエ。
なんでこんなにバカらしく、なんでこんなに素敵なんだ。
これは、かつての土方巽と大野一雄の「バラ色ダンス」ならぬ
「バカ色ダンス」だ。
ともに69歳。
自分もまだまだ頑張らねばと思った。